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実家で一人暮らしをしている姉からいきなり郵便物が届く。
なんだろうと開けたら古いぶ厚いノートで、「また私の思春期のらくがきノートを発掘してどや顔で送ってきやがったのか」と警戒しつつ、でもそのノート自体にはまったく見覚えがなかったので不思議に思いつつ開いたら、去年亡くなった母の育児日記でした。 よく色んな書き物をする母だったけど(そしてたいていすぐ飽きて別のことに興味が移る人だったけど)こんなものを書いていたとは知らなかった。 第二子(私)の妊娠判明から一歳の誕生日まで数日おきに、たまに数週間からひとつきほど空いたりしつつ書きこまれた日記でした。 動揺しながらパラパラ眺めていたら急に私への名指しで「ごめんね」という言葉から始まる、びっちりと字の書きこまれたページが目に飛び込んできて、もう限界でものすごい泣いてしまった。 育児日記自体は姉の分と私の分と二冊あったらしく、これを一人で見つけた姉は大丈夫だったろうか一人でしんどくなかっただろうかと心配になって連絡したら「泣くどころかツッコミどころ満載だったが」という返事が返ってきて、まあ確かにツッコミどころは満載な内容だったんですけども同じ親に育てられた姉妹でこうも感じ方が違うのかと感心しました。 私の母は彼女が40代、私が20歳くらいの頃に、くも膜下出血で倒れました。 それをきっかけに認知機能の低下や視力障害を併発し、その後も何度も発作で倒れては手術を行うなどして30年以上闘病し、去年亡くなりました。 病気で倒れた後の母は、私の知っていたそれまでの母ではなく、幼稚園か小学生くらいの女児のようなあどけない(時に扱いづらい)人格になっていました。 病気後の母もそれはそれで無邪気な可愛い女性ではあったので、ご近所やお世話になっていたデイサービスの人達には、社交的で陽気なかわいい年配女性で通っていたようです。 新しい母のことも相変わらず好きだったし当然嫌いにはなれませんでした。
それでも私が20年一緒に暮らした、漫画を読むのが大好きで波乗りと絵を描くのが趣味でワーゲンビートルが大好きで何台も乗り換えて、犬と猫が好きで料理と裁縫が上手で素敵な人形を作って、美人で社交家で愛嬌があって誰からも好かれていた私の憧れの女性だったひとは、私が20歳、彼女が40代の時に亡くなってしまったんだなとずっと思っていました。 私は母が倒れてからようやく料理をするようになったので、母から料理を教えてもらうタイミングがなかった。母の作ってくれていた料理を思い出して何度も再現しようとして失敗しては悔しかった。 同世代の友人たちが、年を取った自分の母親からトンチキなLINEが送られてきた、と笑っている姿を見ては、ああ私のお母さんも新しいものが大好きだったから、もしも病気をしていなかったらきっとすぐにスマホを覚えて多分頻繁にLINEを送り合ったりしただろうなと思うととてもとても羨ましかった。 もしも母が病気をしていなかったら、育児のアドバイスをしてもらったり、妊娠出産のありがたみを話し合ったりもできただろうな、母も姉も私もお酒が好きだから、お酒と料理の美味しいお店で三人で一緒にごはん食べたりもしたかったな、と思っていました。 母の生きていた頃から、病気で倒れる前の母の夢を見ることがよくありました。そういう時は起きてから、あの頃のおかあさんに会いたいと思って泣くこともありました。母はまだ生きているのに私の憧れだった母はもういないんだという事実がとても重かった。重すぎて、実家から疎遠になったりもした。 そんなふうにもう30年以上、私の憧れていた女性の姿を自分の夢か写真でしか見たことがなかったのに、それが急に発掘された20代の母の日記の中にその姿を見つけてしまって、もう嬉しいやらしんどいやらで読みながら涙が止まらなかったんですよ。 日記自体はものすごいクセ字で(しってた)めちゃくちゃ読みづらかったのですが、手にしてから一日で三回くらい読み返しました。 犬飼くんのシッポの連載が終わったら律歌とアキラの出産子育て編を描こうと思っていたので、母の日記もなにかの参考になるかもしれないし、自分用に少しずつテキストに書き移してまとめていこうかなと思っています。 お見せできそうな面白い記述があったらここで紹介したりもするかもしれません。 私は自分の娘にこういうお宝を何か残せているだろうかと、ちょっと我が身を振り返ってしまった出来事でした。 ![]() ![]() ![]() ![]() ちなみに自分でも知らなかった自分の赤子エピソードとしては、 ・結局はいはいを一度もしなかった ・初めて喋った言葉は「ギャル」 あたりでした。 ネタが満載だよ。
by nanpei_yamada
| 2025-05-18 00:00
| 日記
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