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日高さんがいかアサの表紙並べてくれたよ(*´▽`*)
「いかアサ」アーサー版とガウェイン版!!! 「この本、あまりのぶ厚さに、自立するんです」というひとことに笑いました。 確かにそうだねものすごくしっかり立つね……。 あと、おすそわけの円卓クッキーも届いていたようで何よりです。円卓ッキーって命名、秀逸すぎるでしょ……。(ちなみに一緒に何を送ったのかは私が恥ずかしいのでナイショだ……)(日高さんちに直接「見せてー!」って遊びにいけるくらいの立場の人だったらきっと教えてくれるので聞くといいよ!) さて本題なのですが。 いかアサが出版されたら、ここ最近の恵まれすぎな自分の境遇のことを文章で書いておきたいと思っていました。アーサー王伝説を仕事にさせてもらえている自分のことです。もう発売からだいぶ時間が経っていますが、ずっと文章を推敲していたせいで遅れました。 発売後一ヶ月ということでキリもよく、これ以上煮詰めても腐ってしまいそうなのでもう諦めて推敲終了させてアップします。 ものすごく長文になりますが、良かったらお付き合いください。 いつかアーサー王物語を漫画で描きたいと、デビュー前の1980年代、高校生の頃から思い続けていました。きっかけは、マリオン・ジマー・ブラッドリーの「アヴァロンの霧」を読んだことでした。 書籍『いかアサ』さん内のインタビューでも書きましたが、「アヴァロンの霧」は私にとって児童文学だったアーサー王物語をそうじゃなくさせたきっかけの作品でした。アーサー王関連書籍の中で一番大きな存在を占めている本かもしれません。 高校在学中にデビューが決まり、デビュー数年後(1990年代前半)19歳とかはたちとかの頃、作品的には「オトナになる方法」を手がけていた頃に現在の「金マビ」の元になるプロットを作り始めました。 同じく1990年代前半、「紅茶王子」の連載直前辺りには初期の第一話のネームを描き上げていました。娘を産んだ直後辺りのことなので、23、4歳くらいだったかも。(このときのネームはこのブログでもすこし紹介していますし、『いかアサ』にも、当時の裏事情的な話とともに一部が掲載されています) それから二十年、それは実現できませんでした。 2010年をすぎあたりから「このままでは多分もう描けない」と思って焦り始め、連載を始めるなら今しかないから専属の仕事先の白泉社に直談判すべきだと決心し、2016年四月、桜紅茶連載のかたわら書きためた第1話から8話までの金マビのネーム(コミックスでは二巻収録の本編部分まで)を当時の別花編集長に提出して「どうしてもこれを描いて発表したいんです」ということを訴えました。 当時の別花の編集長は敏腕の女性編集長でした。デビュー当時から、直接お世話になったことはなかったものの同期の友人が担当されてたりして、よく知る少し年上のお姉さん編集のかたでした。 編集長にその相談をした時は、もしかしたらものすごく険悪な話し合いになるかもしれない、もし反対されたら、自分の年齢から考えても白泉社を飛び出してよそで描かせてもらえる場所を探すとか、自腹で自費出版なりWeb配信なりの手段をとるしかないかもしれない、その場合は白泉社との契約の都合上、山田南平ではなく別名義で描かなければいけなくなるかもしれない、という恐怖も感じながらの話し合いでした。 自分としては「金マビ」は、本業連載の「桜の花の紅茶王子」終了後の別花連載作品として準備していたものでしたが、その内容は、デビュー直後から白泉社に作り上げてもらった「山田南平」の作品イメージとは掛け離れていたし、そのうえこの時点ですでにがっちり作りこまれていました。 こだわりが強すぎて書き手自身が「1ミリも変更したくない」と思ってしまっていて編集部の意向の入る隙のないこの作品を、別花での本業連載としては始めさせられない、と最初に言われました。ただし本業と平行して描く気があるのなら発表場所は提供できるし、紙のコミックスも出せる、というお話を頂きました。編集長に「この作品は手を加えずこのまま発表した方がいい。私達も作家さんが描きたいものを描かせてあげたいし、描いてほしいと思っているんですよ」と言われて涙ぐんでしまったのを覚えています。(ちなみにブログではこの日です。帰ってきてから更新しているのでお気楽そのものです) その件からこのかたの前で泣き癖がついてしまったのか、編集さんの前で泣くことなんてほぼなかったというのに昨年の夏にストレスで胃腸を壊して救急外来に駆け込んだ騒ぎの時にも電話で励まされて再び泣いてしまってこっぱずかしい思いを……関係ないし恥ずかしい話なのでやめましょうね(ヽ´ω`) 当時の私は、別花で毎月45Pの連載を、ほぼ休載なしで何年も続けていました。「桜紅茶」のコミックスは三ヶ月から四ヶ月に一度刊行されていた、ハイペースでの連載でした。それに月イチで25P程度の連載が追加になると月産枚数は70Pです。 20代の頃に花ゆめ本誌で隔週連載をしていた頃は30Pを月二回の連載で月産60P。それでもひいひい言いながら描いていたのに、20年以上も歳をとった40代半ばで当時より月産枚数を増やしてやっていけるのか?という不安はありました。でも「じゃあこの話はなかったことに」と引っ込めたらきっとまた平気で10年経ち、その頃には自分は50代です。60代に指しかかっているかもしれません。50代、60代の自分がどのくらい安定したペースで漫画を描けているか想像がつかない、やるなら今しかない、と思いました。 そして同年の2016年11月から連載がスタートしました。どうしても描きたかった作品でも、それを描けていることに慣れてしまったら惰性から作品に対するモチベが下がるのではないかという不安もありました。が、開始から2年以上経った今も、嘘のように楽しく描けています。もっともっと話を進めたい、10のうち1も描けてない、という先走りがちな気持ちを押さえ込んで描かなければいけないほど、楽しいです。 話がすこし脱線しますが、「今ものすごく描きたい作品があって、でも描かせてもらえない」という若い作家さんがもしいたら、その作品がもしとても技量を必要とするものであればなおさら、今ではなくもっと油の乗っているであろう未来の自分に託すこともひとつの道です。技術や感性を身につけ、真面目に確実にちゃんとした仕事をこなして仕事相手である編集部の信頼を得れば得るだけ、ベテランになってから描きたい作品を描かせてもらう時にスムーズにことが運びます。ただしその場合、「今かも」と思った時にはその瞬間を見逃さず、行動に移すことが大事だと思います。(あ、あと、命あってのモノダネといいますがほんとに健康には気をつけて。一番大事なのは睡眠です。まだまだ描ける60代で志半ばにこの世を去りたくなければ、毎日最低六時間は連続で眠って、徹夜仕事は30代前に卒業しましょう) 話を戻します。 とにかくやっと念願かなってデビュー前からずっと描きたかったお話が描けると決まったことが嬉しくて、それからずっと、漫画を描くこと全体がほんとに楽しくなりました。もしかしたら、現在がデビューしてから一番楽しく漫画を描いているかもしれません。金マビが楽しすぎたら本業のほうへのモチベが停滞してそちらがおざなりになるのではないかという不安もありましたが、杞憂でした。本業の連載作品のほうにも相乗効果で楽しい気持ちは波及して、どっちも頑張ろうという姿勢になりました。 桜紅茶で言えば6巻の終盤、サクラとアッサムの少年時代の番外編を描いていた時期です。そのままのテンションで中盤から終盤を描けたからこそ、「桜の花の紅茶王子」はあんなにきれいに納得いくかたちで終わらせることができたのだと思っています。 そうやって楽しく(たまにちょっと無理しつつ)金マビを描いていたら、昨年の六月、ブログ宛てに小宮さんから「いかアサ」の企画に関するメールを頂きました。そこからのツテで、アーサー王学会日本支部と繋がりを持たせていただいたり、以前から金マビの参考資料として著書を活用させて頂いていた先生からお声をかけて頂けたり、それこそ金マビの連載前から「このひと凄いなー!」とブログやツイッターを読み漁らせて頂いていた一般の円卓好きのかたがたに認知していただけるように(あまつさえ交流させていただけるようにも)なりました。 今まで何十年も、ほんとに個人的にアーサー王物語が好きで、とにかく自分の好きを形にしたかっただけでいっぱいいっぱいだったのに、驚くくらい世界が広がりました。 (個人的にお話をしたことはまだないのですが、いかアサの黒幕な小路先生にもずっと以前から最大の感謝を感じています。小路先生が小宮さんに金マビを紹介してくださったことがほんとの始まりだったとずっと思っているので、もし直接お話しできる機会があったらありがとうございますとお伝えしなければ……)(あと個人的にガイリチアーサーの萌え話をしたい) いかアサの表紙絵の依頼を頂いた時は、自分でいいのか?もっと相応しい人やもっと上手い人がいるのに?という気持ちがありました。 以前にここで、いかアサの表紙絵を仕事としてお引き受けしたことに関して「謙遜とか自己卑下ではなく、殊勝な気持ちもある」と書きましたが、ほんとにそうで。 私は漫画が本業であって、絵が本業ではありません。自分の描く絵を褒められる事は最近増えてきたので「少なくともヘタではない」と思ってはいますが、それでも一枚絵で勝負できるほどの画力はまだ持っていないと本気で感じています。謙遜や自己卑下ではなく、「もっと上手くなれる筈だからいまの自分を上手いと思いたくない」という感じに近いかもしれません。 ではもっと相応しい人とは誰なのか。 具体的に名前を挙げてしまえば、たとえば天野喜孝さんであったり、丹野忍さんであったり、山田章博さんであったり、末弥純さんであったり、小林智美さんであったり(「この方の描くアーサー王物語イラストが見たい」という個人的な気持ちだけでお名前を挙げております)素晴らしい絵を描けるイラストレーターの方はたくさんいます。 でも引き受けちゃった。なぜなら自分がやりたかったから。 結果、普段の自分からしたらとても時間をかけてこれでもかという書き込みで一枚絵を仕上げることができました。実際の作業も、スケジュール調整も、プレッシャーという名の精神的な負担も、色々と大変でした。でも、こんなに楽しくお仕事してしまっていいのだろうかと後ろめたさを感じるほど、とても楽しいお仕事でした。 私が楽しそうに金マビを描いたりいかアサの表紙を描いたりしていることを、面白く感じないかたもいらっしゃるかと思います。アーサー王物語が大好きで、その逆に私のことを好きでないかたなどは特に、何故こいつがと思われていることもあろうかと思います。 そういう方には、そんな気持ちにさせてしまって申し訳ないなと本当に思います。 私も人間なので、苦手に思う人もいれば、誰かに嫉妬もします。そしてしたくないのに嫉妬を感じてしまう時の自分のことは凄く嫌だし、恥ずかしく感じるし、勝手に嫉妬してしまっている相手に対していたたまれないです。そんな時どうするかというと、逆に自分が今とても恵まれていて力を注げているものを思い出して、よそみをしないでそちらを頑張ろうと気持ちを切り替えます。それが今の私にとっては、金マビだし、アーサー王物語だし、いかアサだったのです。 金マビを描きたくて描けないでいた20数年の間、常に感じていたのは「私が描けない間に誰かがアーサー王物語を題材にしたものすごく面白い長編少女漫画を描いてしまったらどうしよう。多分悔しくて何もやる気がおきなくなる」という不安でした。 自分が金マビを描けている今、そんな不安は持たなくて良かったんだと思うようになりました。もし自分が描けないでいる間に誰かが描いてしまったとしても、そのあとでも同時でも、自分も描けばいいんだなと気がつきました。 アーサー王物語は、誰かが描いてしまったらもう他の誰かが描いてはいけない物語ではありません。 その逆で、愛さえあれば誰でもが描いていい物語です。シェアワールドと言っても良いかもしれません。アーサー王物語が好きな人の数だけ、別のアーサー王物語があっていいと思っています。そうやって1500年もの間、誰彼構わず愛されて発展し続けた物語です。これからもそういう人たちが続くからこそアーサー王伝説は語り継がれていくのだし、アーサーが永遠の王たりえるのだと思います。 そんな当たり前なことを、自分が作品として手がけられていなかった時期は失念していて、ただ焦っていたなあと今気づきました。 もし今これを読んでいるかたの中に、昔の私と同じような気持ち(「私が描けない間に誰かがアーサー王物語を題材にしたものすごく面白い作品を描いてしまったら多分悔しくて何もやる気がおきなくなる」というやつ)になっている人がいたとしたら、投げ出さないでいつかあなたの思うアーサー王物語を描いてほしいなと思います。商業ベースで発表するのだって、同人誌を作るのだって、SNSで公開するのだって、いまの時代なんだっていいと思います。 ネタがかぶったっていいじゃないですか。数多あるアーサー王物語の原典作品群がどれだけネタかぶりしてると思うんですか。アーサー王物語はネタがかぶってからが勝負ですよ。かぶって模倣で終わってしまったらそれまでですが、かぶった先で自分のオリジナリティを出すことに意義を見出せばいいんです、中世の作家、みんなそうしていますよ。 すでに作品化を果たしている誰かに対して嫉妬したり、羨ましいと思ったりする熱量があるならなおさら、あなたのアーサー王物語が描ける(書ける)筈だと思うんです。 そうやって書き繋いでいって、みんなでアーサーを 「rex quondam, rexque futurus」にしようではありませんか、 と、本気で思うのです。 ![]()
by nanpei_yamada
| 2019-04-13 00:00
| 日記
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