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金マビでは「どうして騎士でないマーリンがマーリン卿と呼ばれるのか」「どうして騎士であるガウェインがガウェイン卿と呼ばれるシーンがないのか」の説明のお話です。
(※これは「金マビの作中での使用例」なので、実際にこう和訳して使用するのが正しいという話ではありません。というかむしろ、金マビでの使い方の方がちょっと変わっているかもしれません) 金マビの作中では、ガウェインもケイも「ガウェイン卿」「ケイ卿」とは呼ばれていません。そのくせ騎士ではないマーリンが「マーリン卿」と呼ばれたりしていて、「卿」が「騎士(Sir)の敬称」でもあるということを知っている人たちは、ん?と感じるかもしれません。 金マビでは個人名の敬称として「公(こう)」と「卿(きょう)」を使っています。 (二人称としての「卿(けい)」は使っていません) 敬称としての「公」↓ ![]() (「ロジアン公ロット卿」と呼んでいないのは、このセリフがロットの息子のガウェインの台詞だから) 敬称としての「卿」↓ ![]() 金マビの作中では公も卿も「lord(領土を持っている領主)」の敬称として使われています。「公」は領土の名前、「卿」は個人名につけて使用しています。 「ロジアン公ロット卿」は、「ロジアン県知事ロット様」みたいな感じでしょうか。 ところでこの時代のブリテンには苗字に当たるものは存在しません。アーサーの父親のウーゼルの「ウーゼル・ペンドラゴン」は、姓名ではなくて、「竜を統べる者・ウーゼル」という感じの、「名前とふたつ名」です。「桃山桃太郎」ではなく、「桃から生まれた・桃太郎」みたいな。 なので金マビではウーゼルの座を継いだアーサーも、「アーサー・ペンドラゴン」という名前ではありません。金マビ作中では「ペンドラゴン」という名は「ブリテンを統一した者」という意味を持つので、もしアーサーが将来父のようにブリテンを完全統一したら「アーサー・ペンドラゴン」でもよさそうです。でも、父同様かそれ以上の偉業を成し遂げたのなら、父とおなじふたつ名ではハクがつかない(父を越えられなかったという意味になる)ので、父のふたつ名とは関係ない名か、父の名を上回るふたつ名をもらう方が自然かもですね。後者は父親を敬ってない感じになりそうだからないかもしれないけど。 (※「金マビではこういう解釈をとっています」と言うお話です。アーサーのフルネームをアーサー・ペンドラゴンとしている現代創作作品も数多くありますし、それが間違っているという話ではありません) ケルト風にこんな呼び方をされたりはする↓ ![]() 話がそれました。で、卿呼びの話です。 「卿」の例でマーリンも卿をつけて呼ばれていますが、実はマーリンはアヴァロン周辺の土地の領主でもあるので卿呼びなのです。アヴァロンと湖周辺の一帯はイニス・ウィトリンと呼ばれている土地なので、「イニス・ウィトリン公マーリン卿(イニス・ウィトリンという土地の領主であるマーリンさん)」という感じ。(※マーリンがアヴァロン周辺の領主であるという設定は、原典にはない金マビ設定です) ↓マーリンの呼ばれ方 ![]() ガウェインの父親はロジアンとオークニー2箇所の領主なので、「ロジアン公ロット卿」とか「オークニー公ロット卿」とか呼ばれます。ロジアン公と呼ばれるかオークニー公と呼ばれるかは、それを呼ぶ人や呼ぶ場面でロジアンとオークニーどちらの地名が重要視されてるかで変化すると思います。たとえば(ありえないですが)東京都知事と神奈川県知事を兼任している人がいたとして、神奈川の議会では神奈川県知事と呼ばれるけど、東京都議会では東京都知事と呼ばれる、みたいなちがいです。 ここまでは、「騎士でないマーリンがなぜマーリン卿と呼ばれているのか」の事情。 次は、「騎士であるガウェインがなぜガウェイン卿と呼ばれていないのか」の事情です。 現代の和訳としての「卿」の使われ方は爵位があればつけて呼ぶ法則になっているので、公爵でも勲功爵(ナイト爵。いわゆる Sir)でも「卿」とつけますが、そもそも五世紀のブリテンには、イングランドという国自体がまだ存在しないわけですから、現在の英国のナイト爵や Sir の称号は存在していません。 金マビ作中でのガウェイン達の肩書きはわかりやすく「騎士」という単語を使っていますが、実際は現代の英国の騎士爵の意味はなく、「王様直属の兵士」くらいの意味合いなのです。 実は最初は「騎士」という単語自体使わず、「剣士」という単語を使う予定でした。でもそれでは「円卓の剣士」になってしまうしあまりにもアーサー王伝説っぽさがないというアドバイスを受けて、「騎士」という単語を使うことにしたのでした。(くどくなって申しわけないのですが、「まだイングランドが建国してない五世紀が舞台なのにアーサー王原典やその後の現代創作でナイト爵や Sir という敬称が使われるのは間違っている」と言っているわけではなく、金マビではこういう解釈を(略) そんなわけで、金マビの作中ではケイもガウェインも「ケイ卿」「ガウェイン卿」とは呼ばれません。ガウェインやケイは領主の息子で「貴族の子」であるだけで、「領主ではない」からです。いずれ父親が死んでその土地を継いだり、主人から領地を拝領して領主になったら卿と呼ばれることにはなるかもしれません。(余談ですが、金マビではケイの父親のエクターは文官一筋のひとで騎士ではない、という設定です。でも地方領主なので「卿」と呼ばれています。ちなみに原典ではエクターはちゃんと騎士です。文官一筋なのは原典にはない金マビ設定です) 文官であるエクターも「卿」↓ ![]() 12世紀以降の古典作品の和訳に慣れている人たち(私もです)はガウェインやケイにも「卿(きょう)」をつけて呼びたくなっちゃうだろうし、銀英伝を読んで大人になった人たち(私もです)は「卿(けい)らも今日はご苦労であった」なんて二人称で卿(けい)呼びさせたくなっちゃうと思いますが、金マビではどっちもしないんですよー、というそういうお話でした。
by nanpei_yamada
| 2018-05-30 00:00
| 日記
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