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サクソン人って誰なのか?というお話の、きのうからの続き。
五世紀、ブリテンを統治しつつ外敵の侵略からブリトン人を守ってくれていたローマがブリテンから撤退しますが、その後ブリトン人たちはなんとか頑張って強いリーダーを据えて自分達だけでサクソン人を押し戻すことにちょっとの間成功します。 この決定打になったのが五世紀もしくは六世紀に行われた、アーサリアンにはおなじみの「ベイドン山の戦い」とされています。 アーサー王伝説における序盤の山場でもあるこの合戦、実は史実とされているんです。ただし一次資料ごとに年代は食い違っているし、敵味方の兵数も指揮したリーダーの名前も正確な場所すら判明していないんですが、でもまあ確かにあった、とされています。そしてここから数十年、確かにサクソン人の侵略は一時停滞するのです。 しかしその強い将軍だか軍人だかの謎の人が頑張って食い止めていた時代も終わり、後継者に恵まれなかったのか、はたまた押し寄せてくるサクソン人の数が桁違いになってしまったのか、結局ブリトン人たちはサクソン人に再び苦しめられて、7世紀頃にはとうとうブリテン島のほぼをサクソン人たちが占拠する時代がやってきます。 この辺りの時代はいわゆる「七王国時代」と呼ばれます。他にもわさわさいろんな部族の小さい国があったけど、サクソン人たちの大きな国が七個くらいあったから七王国時代、という解釈でOKと思います。 (「Σはっ。ウェスタロス!?」と思ったあなた、そうです、ゲームオブスローンズはアーサー王時代のブリテンもけっこう元ネタになっているのです。ウェスタロス大陸の地図、よく見るとブリテン島に似ていませんか?) この時、北のスコットランドはなんとかもちこたえて、ここに住んでいたピクト人達はサクソン人に侵略されずに済みます。(ピクト人はブリトン人とは別の、ブリテン島に先住していた民族。金マビではブリトン人達に「北の蛮族」と呼ばれています) *金マビ8話から(2巻収録) が、彼らは彼らで今度はお隣のアイルランドからスコット人という、やはりブリトン人とは別にアイルランドに先住していた民族の侵略を受けて、そっちに征服されてしまいます。スコット人?あれ?そうです、これが現在のスコットランド人の元になっているのです。(スコット人は金マビではブリトン人達に「西の蛮族」と呼ばれています) さて、ではサクソン人に住む場所を追われたブリトン人達はどこにいったのか? ブリトン人たちは、現ウェールズ地方(イギリス西部)やコーンウォール地方(イギリス南西部の半島)や、海を越えてフランスのブルターニュ地方に逃げ延びます。(ブルターニュの語源は、ラテン語の「ブリトン人の地」です。アーサー王伝説におけるサー・ランスロットの故郷でもあります) 金マビの作中でマーリンが呼んでいる「アルモリカ」という名称は、ローマ人たちが呼んだ、もっと古いブルターニュの呼び名です。 *金マビ四話から(一巻収録) そんな感じで7世紀頃に首尾よくブリテンを制圧したサクソン人ですが、8世紀くらいにはもっと北のデンマーク辺りからヴァイキングが侵略してきて、サクソン人達はこんどはヴァイキングを押し返そうと頑張ったりしつつ、10世紀にサクソン系の王様が「イングランド」を建国します。これが現在の「イギリス」の始まりです。 (ウェールズに逃げ延びたブリトン人達もウェールズ公国を建国して踏ん張ったりしますが、それもやがてイングランドに統合されます)(フランスに逃げ延びたブリトン人もブルターニュ公国を建国しますがやがてフランスに略) でもその後一時期ヴァイキングに征服されてイングランドの王がサクソン人ではなくヴァイキングになっちゃったりします。 ヴァイキング漫画の「ヴィンランド・サガ」はこの辺り。「ヴィンランド・サガ」にはウェールズに追いやられたブリトン人の生き残りの人たちも登場してなんとアーサー王の末裔のキャラも出てくるので、「ヴァイキングじゃアーサー王には関係ないなー」って思わないでアーサリアンも読んでみたらいいと思う。アーサー王と無関係に読み始めたら途中からまさかのアーサーの末裔登場でめっちゃ上がってしまったアーサリアンは私です。(そういえばヴィンランド・サガに登場するアーサー王の末裔キャラも、私の好きなやる時ゃやるぜ的ヤンチャなリーダー解釈だった……!たぶん偶然でしょうけども) で、ヴァイキング王の後にまたサクソン系の王様がイングランドを統治し始めたりしますが、さらに今度は11世紀にフランスに住んでいたノルマン人が海を越えて襲ってきてイングランドを征服します。いわゆるノルマン征服(ノルマン・コンクエスト)です。 このノルマン人というのが実は現在のエリザベス女王の系統なので、現イギリス王室はノルマン系ということになりますが、ノルマン人もゲルマン系でサクソン人と同じ民族なので、サクソン三兄弟が四兄弟になったくらいの差です。 これが五世紀から現在までのブリテン島の大雑把な民族事情です。 要するに、基礎を作って建国したのはサクソン系の部族だけど、その後様々な人種が王になって民族も入り混じってそのうち北のスコットランドや西のアイルランドも統合したり独立されたりして、現在のUKがあるわけです。 ほぼほぼ単一民族の日本人からするとすごいな何それって感じですし、そもそも王様の人種が入れ替わってるのに国の名前がそのままっていうのも不思議な感じがしますよね。 ちなみに現在イギリスの公用語になっている英語ですが、これはサクソン人たちの話していた言語(古英語)が元になっていて、その後ヴァイキングたちの話していた古ノルド語やノルマン系の方言と混じって中英語を経て、現在の英語になったといわれています。 11世紀のノルマン・コンクエスト辺りはフランス系のノルマン人が統治していた時代だったので、ノルマン系貴族は頑なにフランス語を使用していたり、イングランドの政治的言語がフランス語だったりな時期もあったそうです。中世盛期にフランス語のアーサー王物語が広まったのはノルマン・コンクエストの影響もあったのかもですね。 イングランド自体がこんな人種ごったまぜの歴史の国なので、そのおかげでブリテン島の一番有名な王様の伝説が、ヨーロッパの色々な国の言葉で書かれて楽しまれていたということなんだろうなと思います。 ロマンですよねー!(まとめた) (※そして重ね重ね、記事内に間違いを発見されたかたは、サイドバーのメールフォームなどから遠慮なくお知らせください。というか知らせてください。可及的速やかに訂正させて頂きます)(※記事内の地名の誤記を一部修正しました。ご指摘くださったTさん、ありがとうございました(*´▽`*)/05/11)
by nanpei_yamada
| 2018-05-09 00:00
| 日記
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